『Miles in India』(2008)
マイルスと共演したミュージシャンらと、インド古典音楽のミュージシャンらがコラボレーションしてマイルスの楽曲を演奏した2枚組のアルバム。アメリカからはRon Carter、Chick Corea、John McLaughlin、Marcus Millerらが参加し、インドからもタブラ、シタール、バンスリなど民族楽器の名だたるミュージシャンが集まっている。
紛れもなくマイルスのが楽曲なのだがインドの音楽、とくにタブラを中心とするビートで独特のインドの雰囲気を醸しているのだが、時間の使い方もまたインド古典音楽のよう。インド古典は1時間ほど続けて演奏することも珍しくないが(CD録音の場合や、あるいは最近では短く演奏されることが多いけれど)、冒頭のSpanish Keyも20分近くあり、インド音楽のよう。インド音楽もジャズも懐の深い音楽なので、それらが合わさることには意外にもあまり違和感がなく、インド音楽とジャズの融合の可能性を感じさせてくれた1枚だった
Sachal Studios Orchestra 『Sachal Jazz』(2011)
映画「ソング・オブ・ラホール」でご存知のかたも多いと思う。Sachal Studiosはパキスタンのラホールにある映画音楽のスタジオ。このアルバムはスタジオの50周年を記念して作られたものだが、パキスタン/インドの伝統音楽のミュージシャンがジャズやボサノヴァの名曲を演奏したもの。
Miles in Indiaと似たようなコンセプトに思えるが、音楽としてはかなり逆で、パキスタン音楽を前面に押し出してジャズの名曲を演奏したもの。その意外性にはジャズや伝統音楽に詳しくない人も楽しめるだろうが、古典音楽の技法が随所に用いられており古典音楽のファンでも楽しめる納得の1枚。その後もSachal Jazz Ensamble等の名義でアルバムをいくつか発表しているが、この1枚は金字塔だ。
Hugh Masekela 『Hope』(1994)
南アフリカのトランペッターHugh Masekelaのライブアルバム。はじめて彼の演奏を聴いたのは最初のInternational Jazz Dayのコンサートで、Harbie HancockやJohn Beasleyらもかすんで見えるほどの衝撃的な演奏を見たからだった。
改めてこの曲Stimelaを聴いてみると、それはアフリカでごく低賃金で過酷な労働を強いられ、家族とも引き離された人びとを乗せる汽車を歌ったものだったのだと知り、ふたたびの衝撃を受けた。イギリスやアメリカに活動の拠点を移しながらも、故郷ののことを決して忘れることなく。アフリカの政治や経済的な状況を音楽で世に問い、アパルトヘイトに反対してネルソン・マンデラの応援を続けた彼の熱いメッセージが籠もったライブアルバム。

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