古謝美佐子『天架ける橋』(2000)
沖縄の民謡歌手によるデビューアルバム。「童神」は本作発表前に、初孫の誕生に寄せて書かれた曲を撮り直したものだが、夏川りみなど多くのアーティストにカバーされ、00年頃からの沖縄音楽ブームの先駆けとなった1枚と言えるかもしれない。古謝は80年代から坂本龍一のプロジェクトに参加、沖縄音楽ユニット「ネーネーズ」のリーダーを務めたのちソロ活動をはじめ、チーフタンズのツアーに参加するなどの活動もしている。
鋭く芯のある歌声のもつ揺らぎはなんとも美しく、安心感を与えてくれる。月並みだけれどやはり、生まれてくる命の尊さを歌った「童神」は何度も繰り返し聴きたくなる。
朝崎郁恵『おぼくり』(2005)
NHKの「新日本風土記」挿入歌として朝崎さんの歌に触れた人は多いだろう。少し苦しそうにも聞こえる歌い方はひぎゃ唄と呼ばれる奄美南部の伝統的な歌唱法で、朝崎さんは民謡を教える私塾を起こし多くの後進を残している。1997年に発表した高橋全とのアルバム「海美」でデビューし、細野晴臣、ゴンチチらに取り上げられて世に知られる存在になった。最近ではOKIらとアイヌの音楽と融合させたmamiainuというプロジェクトを行うなど、ジャンルの垣根を越えた活動も盛んだ。
このアルバムは奄美民謡のほか、沖縄民謡や、京都の「武田の子守唄」そして唱歌の「故郷」なども収められている。印象的なのは朝崎さんの父・辰恕が作ったという「嘉義丸のうた」、これは昭和18年に米軍の魚雷攻撃を受けて沈没した輸送船「嘉義丸」の死者を偲んで作られた歌だが、戦中には不利な戦局を伝える歌として、また戦後には統治国の米軍に配慮して禁止された。長らく失われた歌を島民の聞き取りによって復元し、朝崎さんが録音したものだ。
民謡クルセイダーズ『Echoes of Japan』(2017)
日本の民謡をラテンのリズムに乗せて演奏する民謡クルセーダーズ、久保田麻琴が発掘してバラカンさんがイベントに招いたことで世に知られるようになったのだが、自主制作のCDを手売りで発表していた頃にライブではじめて聴いたときは本当に驚いた。瞬く間に大物になり、いまではTiny Desk (Home) Concertにまで出演するようになったとは感慨深い。
Myahk Song Book 『Longing』(2016)
宮古島の民謡歌手である與那城美和と、ベーシスト松永誠剛によるユニットMyahk Song Bookのデビュー作。収められているのはなりやまあやぐ〜多良間しゅんかねのメドレーと白鳥ぬあーぐの2曲だけだが、それぞれ10分を超える長い曲だ。與那城さんの、心の奥にそっと届くような芯の通った歌声に松永さんのベースが寄り添う。わたしは女性ボーカルとウッドベースの君あわせがとても好きなのだけど、沈黙のように美しいこの音楽は格別。
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