ワールドミュージック、ジャズを中心に気に入ったアルバムや音源を備忘録的に書いてゆくブログにするつもりです。
初日はノルウェーのピアニスト、Jan Gunnar HoffによるStille Lys (2014)。レーベルは2L。
Jan Gunnar Hoffはノルウェー出身のピアニスト。ノルウェー科学技術大学のジャズプログラムを修了し、1976年に自身のトリオによるAd Lib Jazzklubbでデビュー。クラシック、ジャズ、ポップスなど吸収してPat Metheny、Chick Corea、Lars Danielsson等と共演してきた。2016年2月には代官山の晴れ豆で来日公演を行っていたが、寒い日に一音一音を大切に、なにも聞き逃さないように聞き入ったことを思い出す。
本作Stille Lys はノルウェー語で「静かな光」の意味。そのタイトルやジャケットが表すように、穏やかな光に包まれるような静かな音楽が、アルバムを通じて聴ける。以前はジャジーな音楽を演奏していたが、最近はジャズの要素は少なく、より少ない音で、しんみりとした叙情的な音楽になってきている。クリスマスの曲が多く、ホリデーシーズンに蝋燭の灯りをともしながら、ホットワインを頂きながら聴きたい音楽だ。
1曲目はノルウェーの賛美歌で、近年はクリスマスソングとして親しまれているMitt Hjerte Alltid Vanker。この曲でもうノックアウトされてしまう。他の全てを忘れて、部屋の電気を落として、もう今日はリラックスモードになろう、という気になってしまうから要注意。無伴奏のメロディーからはじまり、いくつかの和音が入ってきた瞬間から、このアルバムを通して包まれるような静かな光の世界に誘われる。
2曲目も19世紀のクリスマスキャロルAway in a Manger。教会堂のなかで聖歌隊が歌唱しているかのような柔らかい音色は1曲目の雰囲気を裏切らない。
Hoff唯一のオリジナル曲は5曲目のThe Elder。2分強の短い曲で、Hoffの他のプロジェクトでもよく演奏している曲だが、低調なモチーフにきらびやかな高音が飾り立てる綺麗な演奏でアルバムによくアクセントを加えている。
アルバムを通じてノルウェー出身のシンガーや作曲家のクリスマスソングが多い。3曲目Bånsull I Advent、4曲目Hjem Te Julともに歌手Terje Nilsenの曲。6曲目Josefs Juleviseは歌手Halvdan Sivertsen作曲、7曲目Et Lys Imot Mørketidaと8曲目Et Lys Imot MørketidaはTrygve Henrik Hoffの作曲。
なかでも異色は終盤の14曲目はノルウェーの歌姫Maria MenaによるHome for Christmas。アルバム全体の雰囲気から外れるものではもちろんなく、原曲も静かなバラードだが、原曲の雰囲気を損なわないまま最後の前にこの曲が入ることで、穏やかな明かりが差してクライマックスにむかってゆく。
アルバムを締めくくるのはふたたび伝統曲Deilig Er Jorden。賛美歌よろしく、ゆるやかな和音と控えめなアプローチノートで構成される。まるで余韻に浸りながら教会堂を退場していくように、アルバムの最後に相応しい曲。
全体として、良い感じにしんみりしてしまうので、作業中などに迂闊に手を出してしまうとまずいが1日の終わりに、またクリスマスのディナーのBGMに丁度良いアルバム。寒さが身にしみて寂しさに包まれたときに傍らにあると安心できるアルバムだ。

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