Perleskum 『Tytebæret』(2020, Ta:lik)

今回はノルウェーの伝統音楽ユニットPerleskumによるデビュー作『Tytebæret』(2020)。レーベルはノルウェーの伝統音楽レーベルであるTa:lik。



Perleskumのメンバーは以下。

Jorun Marie Kvernberg  :ハーディングフィーレ、フィドル

ハーディングフィーレは共鳴弦のついた、フィドルのような4弦の擦弦楽器。1979年生まれで、2003年から数々の伝統音楽の賞を勝ち取っている。ソロ活動では2003年AlbumでTa:likでデビュー。他に伝統音楽のプロジェクトMajorstuen、Tindraほかで数々のアルバムに参加している。

 Unni Boksasp : ヴォーカル、チター

72年生まれ。2007年に自身のプロジェクトUnni Boksasp Ensembleを立ち上げ(Jorun Marie Kvernbergも参加している)、伝統音楽の分野で活躍している。

Dag-Filip Roaldsnes :ピアノ

1984年生まれのジャズピアニスト。ノルウェー国立音楽大学でミーシャ・アルペリンに学び、2012年にFørstでデビュー。チェロや管楽器を用いたアンサンブルのアルバムを現在までに3枚発表している。 

Daniel Herskedal :チューバ

1982年生まれ。ノルウェー科学技術大学でジャズを学び、在学中にEspen Berg (pf), Bendik Giske (sax)とトリオを結成。2010年にCity StoriesでNorCDからデビュー。中編成のアンサンブルEdition RecordsよりSlow Eastbound Train (2015), The Roc (2017), Voyage (2019)を発表。これらにはEyolf Dale (pf)が参加しておりふたりは互いのアルバムに参加している。2012年にはMarius Nesetとデュオ作Neck of the Woodsを発表。2020年にはソロ作 Call for Winterを発表した。

女性ふたりが伝統音楽畑、男性ふたりがジャズ畑出身、気鋭の若手が集結したプロジェクトである。

1曲目、Vårkjenning。疾走感のあるハーディングフィーレの伴奏で活気のある歌声。テンポのよいチューバの柔らかいベースラインに芯のある歌声が乗ってアルバムの最初に相応しい盛り上がり。

2曲目、Nyårs-viseのチューバのロングトーンからはじまり3曲目のPerleskumにかけてゆったりとしたリズムで、歌声をしっかり聞かせてくれる。チューバの靄のかかった音でしっかり支えてくれるベースがこのアルバムを通じて印象的だった。寄り添うようなピアノは控えめだが美しい。

4曲目、Halling basta bom はうってかわって賑やかな擦弦楽器の音がファンファーレのように響く。いっぽう5曲目のEit synは歌を引き立てるピアノとチューバの伴奏で歌唱力が際立つ。

 6曲目Framvokstren minはピチカートとピアノのゆったり踊るようなリズムに、抑揚のめりはりがはっきりした楽しい展開。

9曲目はアルバムのなかでは異色の、ハバネラ風でジャジーなリズム。フィドルの歌うようなメロディと、チューバの力強いベースに透き通った歌声が上手く響いている。ピアノのRoaldsnesの技量がここにきて発揮された印象。つづく10曲目のTytebæretではそれぞれの楽器の特性が活きて徐々に盛り上がる展開。アルバムの仕上げに全て洗い流し、カタルシスに至る軽快なリズム。

アルバム全体を通して緩急自在で、それぞれの奏者の個性が活きたアルバムでした。チューバのベースが伝統音楽のリズムを上手く支えているのは意外だった。一方ピアノのRoaldsnesの存在感が少し薄かったような印象があり、すこし残念だった。それでも伝統音楽の新しい可能性を感じさせる革新的なアルバムであり、完成度も非常に高いし、演奏も聞いていて楽しい良いアルバムだった。2020年ベストの一枚。





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