Mathias Duplessy & The Violins of the Worldは、リーダーのMathias Duplessyと世界のバイオリン(擦弦楽器)奏者3人によるプロジェクト。メンバーは以下の通り。
Mathias Duplessy :ギター
Aliocha Regnard:ニッケルハルパ
Guo Gan:二胡
Enkhjargal Dandarvaanchig:馬頭琴
グループとしては2010年のMarco Polo、2016年のCrazy Horseに次ぐアルバム。Mathiusは他にもモンゴル音楽を題材にしたシングルや、映画のサウンドトラックを手がけている。
1曲目、Texas Boleroはオリジナル曲だが、タンゴ(ハバネラ?)風のスローなボレロのリズム、正直なところ何がTexasなのかは分からなかったが、スペインギターのリズム(多分)で親しみやすいメロディで無難な滑り出し。続くThe Good, the Bad, the Ugly は言わずと知れたモリコーネで、出だしがホイミーで始まり、勢いよく馬頭琴のメロディで掛けていく。西部劇の音楽のはずなのだが、モンゴルの草原を掛けていく印象でさえある。
4曲目のChinese Dumplings(餃子のことか?)はいかにも中国風のメロディではあるものの、テーマの締めくくりもリズムも思いっきり西洋音楽でチープな印象がちょっとある。中国っていうよりかはカリフォルニアのチャイニーズって感じだ。続くPaulindaはシンプルなギターを聞かせるメロディアスな曲。途中で雰囲気を暗転させて、綺麗にまとまる物語性がある。
6曲目はDire Straitsの有名なBrothers in Arms。この曲は切ないヴォーカルが入っていてちょっと異色だが、楽器の歌うようなオブリガートが入るとさすがに泣かせる。7曲目、Kung Fuはアップテンポのいかにも中国のアクション映画みたいな曲で、フラメンコギターの奏法を駆使した、西洋イメージの中国。
8曲目、A Japanese in Parisは切なげなワルツだが、タイトルが曲想を上手くしめしているかと言えば疑問だ。9曲目は渋いヴォーカルとハイミーの入った勢いのある曲。西部劇のようでもあり、モンゴル風でもある。
10曲目、ゆったりしたバラード。広大な大地の下で切なく立ち竦むような印象。中盤からやや暗雲が立ちこめてきて、大団円に至るパターンは5曲目と同じ。11曲目Gibraltarもバラードだがニッケルハルパが主役になってテーマを繰り返しつつ他の楽器の装飾で聞かせる展開。
12曲目Gurvan Muchは前半は馬頭琴のゆったりしたバラード、後半はアップテンポになって同じテーマを違った聞かせ方で演奏する。終盤はジプシー風の終わり方。13曲目Oriental Little Parisはフランス風のワルツ。二胡と馬頭琴のユニゾンを基調に、ソロはそれぞれに掛け合いをして緊張感がある。
この手のプロジェクトの宿命として、色々な音楽を取り入れようとしてどっちつかずになったり、西洋音楽に伝統音楽のメロディーや楽器を取り入れただけで上手に消化しきれなかったりということが多いが、本作も4曲目や9曲目ではかなりそういう印象があったし、展開も強引というか、不自然なところが結構見られた。一方で2曲目や6曲目は原曲の良さを生かしながら上手に伝統音楽と融和させていたように思う。前作ではそういう感じの挑戦的な音楽が多かったので期待を少し下回ったが、民謡や伝統曲を演奏してくれれば随分と良い演奏になるのではないか、という期待がある。なにより擦弦楽器の掛け合いのハーモニーは本当に美しく、それだけで十分聞く価値のあるアルバムなので、深く考えずにハーモニーを楽しみたい。
今回は曲目を以下に。
1. Texas Bolero (Mathias Duplessy)
2. The Good, the Bad, the Ugly (Ennio Morricone)
3. Good Morning Guangzhou(Mathias Duplessy)
4. Chinese Dumplings (Guo Gan)
5. Paulinda(Mathias Duplessy)
6. Brothers in Arms (Mark Knopfler)
7. Kung Fu(Mathias Duplessy)
8. A Japanese in Paris(Mathias Duplessy)
9. Chiken Del(Mathias Duplessy)
10. Horizon Blues(Mathias Duplessy)
11. Gibraltar(Aliocha Regnard)
12. Gurvan Much (Dandarvaanchig Enkhjargal)
13. Oriental Little Paris (Guo Gan)

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