Vincent Peiraniはフランスのアコーディオン奏者。クラシックの分野で数々の国際的な賞を受賞したのち、ジャズの世界へ。現在までにLars Danielson、Ulf Wakenius、Michael Wollny等のアルバムに参加する一方、クラシックやタンゴにも取り組み、幅広いジャンルで第一線で活躍する。
Emile Parisenはフランスのサックス奏者。トゥールーズ音楽院でクラシック、現代音楽を学び、ジャズに転身。ジャズフェスティバルではWynton Marsalis, Christian McBride等と共演。
本作は彼らのデュオとしては2014年のBelle Époque以来の2作目。またAndreas Schaerer、Michael Wollnyと共にライブアルバムOut of Land等でも共演している。
前作では拍のはっきりしない即興的な音楽が多かったが、今作ではうってかわってタンゴを前面に押し出し、強いラテンのリズム感で演奏する。
1曲目はサックスが6拍子のアルペジオを刻んで始まる、Jerry Roll MortonのThe Crave。映画『海の上のピアニスト』の作中で使われたEnnio Morriconeのアレンジで有名だが(というか、それ以外の演奏があまりないのだが)、後半は4拍子に変わって力強いサックスのソロで熱気を見せたあとはまたテーマに戻って終わるMorriconeのアレンジに則っている。
次はルンバの王様とも言われるXavier CugatのTemptation。徐々に熱気を高めてゆく展開は彼らの得意とするところだが、ラテン音楽の渋いところを攻めてくる。熱気を緊張感が調和するこのアルバムのイメージがこのあたりで固まってくる。
ピアソラの曲が2曲あり、3曲目Fuga y MisterioとDeus Xango。速いテンポでソプラノがサックスが主旋律を演奏し、そこにアコーディオンのオブリガートが入ると情感極まって踊らずにはいられない。
7曲目はアルゼンチンのTomas GubitschによるA Bebernos los Vientos。もともと複数の楽器の掛け合いを効果的に使った変化に富む曲なのだが、ふたつの楽器で変幻自在に演奏するさまはこのアルバムのハイライト。
ジャズの緊張感とタンゴの熱気を掛け合わせた熱い時間のなかで、、めまぐるしく変化して多様なジャンルを柔軟に弾き/吹きわける才能を爆発させたアルバムであった。

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